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医療・介護現場のIT課題──予算がない現場における最適IT投資戦略

6月10日
読了時間: 6分

更新日:8月10日

医療・介護の現場は、電子カルテや介護記録アプリの普及によって「IT化が進んでいる」と思われがちです。しかし実際には、日本の産業の中で最もIT課題が深刻で、最もデータ保護が重要な領域です。2024〜2026年にかけて、医療機関や介護施設ではサイバー攻撃が急増し、診療停止や業務停止に追い込まれるケースも増えています。にもかかわらず、現場にはIT担当者がほぼ存在せず、バックアップやセキュリティは“誰も管理していない”状態が珍しくありません。そして最大の問題は、「課題は理解しているが、予算がないから動けない」という現場の声です。この記事では、医療・介護のIT課題を深掘りしながら、予算がない現場でも前に進める“現実的な投資戦略”まで徹底的に解説します。


医療・介護のIT課題はなぜ深刻なのか


IT担当者が不在な構造的リスク(=誰も守れない)


医療機関・介護施設の多くは、専任のIT担当者がいません。電子カルテやレセコン、介護記録アプリ、ネットワーク、バックアップ、セキュリティなど、すべてを院長・事務長・看護師が兼務しています。しかし、医療データは一般企業のデータとは異なり、「消えたら診療ができない」「漏えいしたら重大事故」という性質を持ちます。にもかかわらず、


  • バックアップの成否を誰も確認していない

  • NAS単体に保存しているだけ

  • セキュリティソフトが古いまま

  • Wi-Fiが職員・患者で共用


といった状況が普通に存在します。“IT担当不在 × データの重要度が極めて高い”これが医療・介護の最大のリスクです。


電子カルテ化の現場に与えるインパクト|IT担当者不在の現場でどのようにデータ管理を実現するか
電子カルテ化の現場に与えるインパクト|IT担当者不在の現場でどのようにデータ管理を実現するか

電子カルテ・レセコンのバックアップが“単体保存”


単体バックアップの危険性


電子カルテやレセコンは、医療機関の生命線です。しかし、バックアップの実態は驚くほど脆弱です。よくあるケースは以下です。


  • NASにバックアップしているが、NAS自体が暗号化される

  • 外付けHDDに保存しているが、職員が持ち帰って紛失

  • クラウド保存しているが、ローカルのバックアップがない

  • ベンダー任せで、実際に復旧できるか誰も確認していない


特にランサムウェア攻撃では、NASごと暗号化されるため、バックアップが全滅するという事例が増えています。この結果以下の状態に陥ります。


  • 診療ができない

  • 過去のカルテが参照できない

  • 会計処理が止まる

  • 保険請求ができない

  • 休診に追い込まれる


という“事業継続の危機”に直結します。


医療データはサイバー攻撃の“最優先ターゲット”


ランサムウエアが医療データを狙う理由


医療データは、闇市場で非常に高値で取引されます。理由はシンプルで、個人情報の中でも最も価値が高いからです。そのため、医療機関は以下のような攻撃の標的になります。


  • ランサムウェア

  • 標的型攻撃

  • フィッシング

  • VPNの脆弱性攻撃

  • 医療機器のネットワーク侵入


2024〜2026年は、医療機関への攻撃が世界的に急増しています。日本でも、病院が診療停止に追い込まれた事例が複数発生しました。医療機関は「狙われている」という前提で対策を考える必要があります。


介護施設の“紙文化”が生むリスク


介護現場のデータ管理の実態


介護施設は医療機関以上にさらにIT化が遅れています。


  • ケア記録が紙

  • 写真・動画が個人スマホ

  • USBでデータ移動

  • 職員の個人PCにデータが保存

  • Wi-Fiが暗号化されていない

  • 施設長のPCに全データが集約


こうした状況は、情報漏えい・データ消失・業務停止のリスクを常に抱えています。介護施設は、以下の対応可能な補助金の恩恵があります。


  • ICT導入補助金

  • 見守りセンサー補助金

  • 業務効率化補助金


これらを活用しながら、「紙 → クラウド」への移行が可能になります。


医療DX・介護ICTで何が変わるのか


2026〜2030年にかけて、医療・介護は大きな転換期を迎えます。


医療DX(電子カルテ標準化)のインパクト


  • 電子カルテの標準化が進む

  • クラウドカルテが主流に

  • データ連携が強化


データ保護・バックアップの重要度がさらに上昇


介護ICT化


  • 介護記録アプリ

  • 見守りセンサー

  • スタッフの業務効率化

  • クラウド化


介護施設は“IT化の伸びしろ”が最も大きい


セキュリティ投資の増加


  • 医療機関はサイバー攻撃の標的

  • EDR/XDRの導入が増加

  • 運用代行(MSP)の需要が急増


「守る仕組み」が最優先の投資領域に


医療機関が“予算がなくても”IT投資を進めるための最適戦略


医療機関は赤字が多く、IT投資は後回しになりがちです。しかし、実際には予算が少なくても前に進める方法が存在します。ここでは、医療機関が無理なくITを整備するための“現実的な投資戦略”を紹介します。


戦略①:補助金を活用して実質負担を1/2〜1/3にする


医療・介護は補助金が非常に手厚い領域です。電子カルテ、バックアップ、セキュリティ、ネットワーク整備まで対象になる補助金が多数あります。→ 補助金を使えば、医療機関の負担は大幅に軽減できます。


戦略②:初期費用を抑えて“月額化”する(MSPモデル)


医療機関は初期費用の支払いを嫌います。しかし、バックアップ・セキュリティ・運用代行を月額で提供するMSPモデルなら、初期費用をほぼゼロにできます。 → 医療機関は“買う”のではなく“任せたい”。 → 月額化は医療に最適なモデルです。


戦略③:スモールスタートで段階的に拡張する


医療機関は大規模投資ができません。次の順番で進めるのが最も現実的です。


  1. バックアップの二重化(最優先)

  2. EDR/XDRの導入

  3. ネットワーク整備

  4. IT運用代行(MSP)


→ 小さく始めて、確実に前に進める。


戦略④:診療停止リスクを“経営リスク”として捉える


電子カルテが止まると、


  • 診療ができない

  • 会計ができない

  • 保険請求ができない

  • 売上がゼロになる


つまり、バックアップとセキュリティは“売上を守る投資”です。


戦略⑤:他院の事例を参考にする


医療は横並び文化が強いため、「他院がやっているかどうか」が意思決定に大きく影響します。


まとめ:医療機関は“お金がない”のではなく“判断材料がない”


医療機関は赤字で投資できないように見えますが、実際には以下の条件が揃えば投資は動きます。


  • 補助金で負担を減らす

  • 初期費用を抑えて月額化する

  • 小さく始めて段階的に拡張する

  • 診療停止リスクを経営リスクとして説明する

  • 他院の事例を提示する


これらを組み合わせれば、医療機関でもIT投資は十分に可能です。そして、医療・介護の現場に最も必要なのは、「ITを導入すること」ではなく、「ITを安全に運用し続ける仕組み」です。


ITを安全に運用し続ける仕組みとして= バックアップ × セキュリティ × MSP(運用代行)という考え方は、現場の課題解決に最も近づく、現実的なIT投資でしょう。医療・介護の現場を守るために、“止めない・失わない・漏らさない”という視点でITを整備する。またそのためには、補助金制度や負担が少ないサービスコストとしての活用などの財務的な取り組みも最重要テーマになります。


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